歯科医院の選び方(感染管理が出来ている医院)

歯科医院を選ぶポイントとして感染管理が適切に行われている医院が大事です。それらのニュース トピックスを掲載しています

歯科医院でも、家庭用食器洗剤で洗浄していませんか?

~家庭用食器洗剤では血液は落ちません~
 近年の家庭用食器洗剤は、洗浄・除菌力の高さを謳い文句にしながら、100mlあたり50~100円前後と非常に購入しやすい金額のものが数多く販売されています。実際、入手の手軽さから歯科医療の現場でも、この家庭用食器洗剤を使っての洗浄がよく見られます。では、この食器用の洗剤と我々が扱う医療用の洗浄剤とではどこが違うのか考えていきましょう。

ボディソープで髪を洗うのと同じ
家庭用食器洗剤と医療用洗浄剤の違いは
ターゲットにしている「汚れ」お風呂場で使用する「洗剤」として、頭髪を洗う「シャ
ンプー」と身体を洗う「ボディソープ」とがあります。2つの違いは洗浄力よりも、髪を柔くする・肌をしっとりさせるなど、付帯効果の為に配合している成分です。
 同様に、家庭用食器洗剤は、食器に付着する油汚れや食物由来の汚れをターゲットとし、それに見合った界面活性剤や安定化剤、除菌剤を配合しています。それに対し、医療用洗浄剤は人体から出される血液、脂肪、糖質、繊維質といった汚れをターゲットとして設計されています。
 この違いを考慮しなければ、ボディソープで髪を洗った時に” 髪を柔らかくする” といった効果を得られないのと同様、血液の汚れが十分に落とせず、その後の消毒や
滅菌不良を起こす可能性が高まってしまうのです。

医療現場での洗浄に泡は不要
医療用洗浄剤が泡立たない理由
 家庭用食器洗剤の多くが、使用時に大量の泡を発生させるように調製されています。
 しかし、病院で使用される医療用洗浄剤はほとんど泡の立たないものが使用されています。実は、泡の正体は発泡剤という化学物質で、発泡剤には全く洗浄効果が
期待できないのです。
泡が洗浄を邪魔してしまう
 泡のメリットとしては、ブラシやスポンジで擦り洗いを実施したかの目安や、すすぎの目安になるという点は挙げられますが、実は大きなデメリットもあります。
 デメリットの1つとしては洗浄成分である界面活性剤と汚れとの接触を泡が邪魔してしまう点です。洗浄は、界面活性剤が汚れを包み込んで剥がす作用なのですが、この

界面活性剤と汚れの間に泡が入ってしまうと洗浄力は減退してしまいます。
 2つ目のデメリットとしては、視界を遮ってしまう点です。泡で洗浄物の形状が確認できず、洗浄時の切創事故の原因となることもあり非常に危険です。また泡が付着して
いれば、しっかり洗浄ができていると思いがちですが、医療機器のような微細な器具の汚れや、こびり付いた汚れなどを泡が包み隠してしまい、洗浄不良を起こす可能性が非常に高くなります。医療の現場では、この洗い残しが感染リスクを高めたり、器材の劣化を招くのです。

誤った洗浄による感染を防ぐ
 家庭用食器洗剤と医療用洗浄剤の違いとして、『ターゲットとしている汚れ』『泡の活用』と前述しましたが、医療現場での洗浄剤の選択はもっと複雑です。洗浄力だけではなく、除菌成分が入っている洗浄剤を選ぶときには、どの菌やウイルスに対して効果が期待できるのか(抗菌スペクトル)も考慮すべき対象となり、1ボトルあたりの単価だけでなく、希釈した後の実用液でのコストも評価、検討していく必要があります。その他にも、材質劣化がないか、毒性はないかなど改めてお使いの洗浄剤の見直しをお薦めします。正しい洗浄の実施が、感染に対する最も重要な対策です。